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新聞の経済面で何かを目的とした造語を目にします。その呼び名の意味や目的、その言葉が日常生活とどう結びつくか教えてください。

2014/01/20 [01月20日号掲載]

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 ご質問の通り最近良く目にする明らかに何かの目的の為に作られた言葉が有ります。「六次産業」「ファルマバレー構想」「内陸フロンティア構想」などが上げられます。「六次産業」とはこれからの農林水産業を推進する一方向を示し、「ファルマバレー」は県東部地区の富士山山麓で進められている医療産業活動を表しています。  「内陸フロンティア」とは津波被害を想定した内陸の高台への移転や第二東名高速道路に連動した物流事業などの展開など内陸部での産業活動推進を表しています。今回は私たちの生活に最も身近な「六次産業」について説明します。  「六次産業」とは一次産業で生産される農畜産物や水産物を食品加工(二次産業)し流通や販売(三次産業)をも生産者が一貫して行い、加工費や流通マージンを生産者自身が得る事によって、農林水産業の活性化を推進しようとする国の政策です。  ちなみに六次産業の名称は一次産業の1と、二次産業の2、三次産業の3、を足し算すると6になる事から六次産業という造語が生まれました。私たちがスーパーで購入したり直接販売店に出向いて購入したり食べたりして日常の生活に大変身近な産業だと思います。具体的な県内での実例としていくつかご紹介します。六次産業の意味がよくわかると思います。 ◆例1 自身の畑で農作物を生産し販売店で小売りをする。その小売り店舗内の一角で自作農産物を調理し店内レストランで提供しています。安心、安全で格安の野菜が購入できると人気のお店です。 ◆例2 県中部に女性には大変人気の高いスイーツレストランのお店があります。そこは苺農家が集結し苺の生産を行い、その苺をくだものとして販売したり、取れたての苺をその場でスイーツに変身させレストランで提供する。目の前で作られるイチゴジャム。これほど見た目に新鮮な食品は有りませんし、そのお店はイチゴであふれるビニールハウスの隣にあります。人気が出るはずです。 ◆例3 県東部には牛や豚の畜産を行いながら乳製品の加工販売。こだわりの食材を調理したレストランを展開し、そこでしか味わえないハムやソーセージを販売しています。  このように生産者みずからが加工販売までを一連して行う事業を六次産業と呼びます。間違いなくこれからの農業などの事業展開に一石を投じる政策だと思います。しかしながら、この六次産業を現実化するには企画事業書の作成から始まり具体的な立地に対する数々な法律の許可作業。オープン直前のレストランなどの開業許可など、大変な努力と専門的な知識。相応な時間をも必要とします。この専門的な知識を有し、事業者との相談を繰り返し行政機関へ提出する書類を作成する。このような仕事の適任者が「町の法律家行政書士」なのです。今後、社会のニーズへ発展するであろう六次産業化事業。早期な専門家の育成が求められます。静岡県行政書士会ではいち早くこの事に着目し、より良好な事業の推進方法や行政との協議を行う専門部会を発足しすでに活動を始めました。これから六次産業化を考える農林水産業の方はぜひお近くの町の法律家であり又、気軽に相談できる相手の行政書士を訪ねて下さい。必ずお役に立つと思います。 静岡県行政書士会 沼津支部 川口 修