日本における近代的な更生保護の源流は、1888年に設立された『静岡県出獄人保護会社』にある。生涯を通じ公益に尽くした実業家・金原明善と、静岡監獄の副典獄であった川村矯一郎らによって設立された。そこでは、釈放者の宿泊保護や就職あっせんを行うとともに、県内に1700人に及ぶ保護委員を配置して釈放者の保護に当たらせた。これが我が国の更生保護施設と保護司制度の祖となった。「静岡に勤務することになり、大切にしたいと考えているのが更生保護発祥の地であるという誇りです。明治の時代に、今の保護司数よりも多い1700人もの保護委員が活動していたということに思いを致しながら、静岡県内における更生保護の活動の充実に取り組んでいきたい」と語る石川所長に話を聞いた。

 

■略歴

石川祐介(いしかわ ゆうすけ)

1971年2月、東京都出身。神奈川・栄光学園、東大大学院(社会学)修士修了。1995年法務省入省後、福岡、東京、岡山の各保護観察所、法務省保護局勤務を経て、2021年4月から現職。静岡勤務は初めて。「保護司の方に勧められて毎日たくさんお茶を飲んでいます。富士山の見え方が一日として同じではないことに驚いています」。

 

静岡保護観察所

(静岡市葵区追手町9-45 電話054-253-0191)