和食の料理人だった父の背中を見て育った能瀬シェフ。「いつも身近に父の料理がありましたので、物心ついた時には、私も料理人として生きていくものと思っていました」。料理の道へ進むきっかけになったのは、当時の彼女に連れられて食べた“タラコパスタ”の美味しさに衝撃を受けたこと。その後、このイタリアンを運営する会社に入社した。150席もある大型店舗の厨房で真摯に料理と向き合い、独立するまでは料理長として“つくる”だけでなく、“人を活かす”ことにも取り組み、料理人としての研鑽を重ねた。

 上質な炭や塩を使った料理、そして国産ワインとのマリアージュによって生み出されるやさしい味わい。提供するのは静岡県産の野菜を中心とした地場の食材。「生まれ育った富士宮の地で母が育てている根菜をはじめ、オリーブオイルや肉、魚も国内産です。そんな地元の食材を炭火で焼くのですが、炭火はどんな食材にもやさしいんです。食材の美味しさを保ったままじっくりと中まで火が通ることで、素材本来の美味しさを際立たせてくれます」。能瀬シェフが思い描くのは、料理に対する愛情や情熱といったつくり手のこだわりを余すことなく見てもらうこと。顧客と能瀬シェフとの会話のやりとりから生まれる心地良い空間と、五感で料理の奥深さを感じてもらえるようにと、店内はカウンターがメインとなっている。「私はとても贅沢な時間をお客さまと共有させていただいています。お客さまをお迎えし、一期一会の出会いを大切にしながら、お客さまの目の前で会話をしながら料理が提供できる。そして、来店いただいたすべてのお客さまと昵懇の間柄になれれば本望です。心の距離が縮まるほどに美味しさが増していく、それが料理の本質ですから」。

 

■住  所/静岡市葵区常盤町2‐2‐17

■電  話/054-252-5055

■営業時間/ランチ11:30〜13:30

      ディナー18:00〜22:00(食材が終わり次第終了)

■定 休 日/水曜日(休日の場合は営業)

■座 席 数/1Fカウンター6席、2Fテーブル14席