“南町の松岡修造”こと、テニス馬鹿の店主、滝田康利さんが切り盛りする居酒屋『稲穂』。「こう言うと怒られちゃうけど、常連客には本当にお世話になってる。でも、もっともっと新しいお客さんに来てほしいし、出会いたい」と本心を飾らない言葉で紡ぐ。しかし、本当は地元企業の経営者やサラリーマンに愛される昔ながらの武骨な居酒屋だ。その証拠に、来年3月には25周年を迎える。「南町に移転して、人生が大きく変わったね。馬渕に店があった時には、近所のお客さんが多かったけど、ここに来てからは、いろんなお客さんが来てくれるようになった。それに前から街中にある雑居ビルの2階に移転したかった。だから、この場所を勧めてくれた大家さんには本当に感謝してる」と笑う。コロナ禍にはJAのお偉いさんに頼み込んで、内牧の製茶工場や羽鳥本町のいちご農園でアルバイトをして生計を立てた。そんな人との一期一会の出会いに感謝しながら、ストレスのない人生を過ごしたいと、それを実践し、謳歌している。

 来年の25周年には、25歳以下の若い世代にもっと和食やお酒を味わう喜びを知ってもらいたいと、酸いも甘いも嚙み分けた大人が、知らない若者にカルチベートするイベントを来年3月に実施する。それは、1枚1000円のチケットを見知らぬ若者にプレゼントしてあげてほしいという善意の企画だ。素敵な異性に時間と労力を注ぎ込むのも悪くはないが、未来の静岡を担う見ず知らずの若者に、大人の粋を感じてもらうのも静岡に暮らす企業人の責務だと思う。そのカルチベートチケットが先月ついに完成した。「静岡に暮らす若者たちのエールにもなる。だから、これを読んでる経営者にこそ、チケットを買ってほしい。社会貢献にもなるし、若者たちの心にもきっと響くと思う。それを信じて、自分もテニスとこの店を頑張りたいね」。

 

■住  所/静岡市駿河区南町5-36 オラシオン南町Ⅲ 2F

■電  話/054-289 -1025

■営業時間/17:00〜22:00(LO.21:00)

■定 休 日/日曜日・祝日

■座 席 数/カウンター5席、テーブル4席(最大6名)、座敷席12名