『河内庵』の創業は享保元年(1716年)。300年の歴史を持つ、老舗のそば屋だ。現在は16代目店主の石川勉さんと、若女将の石川稚子(わかこ)さんが中心となり、店を切り盛りしている。「定番メニューのほか、季節のおそばや、ミニ丼とおそばなどセットメニューもご用意しております」と稚子さんが話すように、一人でも、家族連れでも食事が楽しめるように、豊富なメニューを取り揃えているのも店のこだわりだ。

 近隣に住む人たちを中心に、常連客も多い。〝暑くなってきましたが体調はいかがですか?〟〝この間、ご一緒に来られたお孫さんは元気ですか?〟〝お買いものは楽しかったですか?〟。店内に響く何気のない会話を聞いていると、おもてなしの心を大切にしていることを実感できる。「お客さまが足を運んでくれているからこそ、お店を続けてこられたと感じています。ご注文を聞きに行くとき、お料理を運ぶとき、お帰りのときには、できるだけ声をおかけするようにしています」。

 『河内庵』のそばは、徳川慶喜公がこよなく愛したと言い伝えられている。その噂を聞きつけて訪れる人も多い。「遠方から来られた方には、藁科地区の本山自然薯を使った『とろろそば』など、静岡ならではのおそばをお勧めすることもあります。季節に合わせていろいろなおそばを味わっていただけるようにしておりますので、近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください」。

 

■住  所/静岡市葵区宮ヶ崎町74

■電  話/054-253-0432

■営業時間/(昼)11:00〜15:00、(夜)17:00〜20:00

■定 休 日/木曜日・第3水曜日

■総座席数/テーブル40席 ※2階座敷あり(要予約)