静岡には知る人ぞ知るすばらしい生産者たちがいる。井上靖彦オーナーシェフは、そんな大切な仲間たちから届く貴重な地元食材を極限まで生かした料理に仕上げる。渾身の料理から漂う世界観は、県内外の美食家を虜にしている。フレンチ、イタリアン、エスニックなどをベースに、独自の視点と発想で素材と向き合う。「食材のすばらしさを表現するのは私たち料理人の役目です」。

 大分県日田市で生まれ育った井上氏。高校時代は「早く稼ぎたい」とアルバイトに精を出す。ある時、西洋料理店のアルバイトに入って、初めてお米を炊いた。その時に店主から「今日の米は誰が炊いた?うまいぞ」と褒められた。この出来事が料理人への道を開けてくれた気がする、と振り返る。「今でも鮮明に憶えていますよ。“うまい”と喜んでくれたことが、本当にうれしかった」。高校卒業後、東京の飲食店に勤務していた23歳のときに海外へ。6年間ベルギー、フランス、イタリアを渡り歩く。

 「海外では、田舎町なのに世界的なレストランが点在する地域もあり、世界からたくさんの人が訪れています。そんなレストランは必ず地元のものを使い、その食材が世界的なブランドへと発展するケースも少なくありません。一つのレストランからムーブメントを起こすのも不可能ではないと信じて、生産者や従業員など、大切な仲間とともに歩んでいきたい」と井上氏は語った。

 

■住  所/静岡市葵区馬場町39-3

■電  話/054−221-7733

■営業時間/ランチ12:00〜14:00、ディナー18:00〜23:00

■定 休 日/火曜日

■座 席 数/テーブル計10席、カウンター7席