「おいしい野菜をつくるには、野菜の声を聞くこと。間違っても自分が良い野菜をつくろうと気負ってはいけません。人を愛しむ心や、人を思い遣る優しい心を持つ人間にしか、おいしい野菜はつくれません」と語る鈴木貴博氏。『おいしさを求めて』を理念に掲げ、野菜の声に耳を傾け、野菜がのびのびと育つための“お手伝い”をすることが、おいしい野菜を育てるための秘訣と言う。「“おいしさ”の定義とは難しいもので十人十色、その答えは見つけ難いものかもしれません。しかし、これだけは言えます。食べてもらいたい相手のことを想い、愛情を込めてつくった野菜にこそ、おいしさは宿ると。人の心を揺さぶることができるのは、大切な人に食べてもらいたいという愛情の気持ち」と語る。鈴生の現在と、これからの鈴生について話しを聞いた。

■略歴

鈴木貴博(すずき よしひろ)

昭和51年4月、静岡市葵区に生まれる。九州東海大学工学部卒。大学を卒業後、当時最先端の農業に取り組んでいた山梨の㈲イズミ農園で2年間修業し、現在の鈴生につながる野菜づくりの礎を学ぶ。その後、両親が営む鈴木農園の運営を引き継ぎ、5年にわたって試行錯誤を重ね、野菜づくりの奥深さを痛感する。平成20年12月、㈱鈴生を設立。平成26年には、㈱モスファームすずなりを設立。今後は、大手企業との合弁会社をはじめ、東南アジアや南アジアに現地法人の設立を計画している。