今年10月に移転オープンしたITAMAE朝太郎。〝お客さまを最大限におもてなししたい〟と考え、カウンター席のみ、メニューはおまかせコースとし、料理の提供を一斉に開始するスタイルにした。退店時に次の予約を入れる常連客が多いが、おまかせとした以上、いつ来ても、何度来ても、来店客の期待を上回る料理の提供と接客を心がけている。

 調理場に立つ板前の小川朝太郎さんの表情は、何かと勝負を挑んでいるようにみえる。板前歴20年のベテランだが「もっと上手くなりたい」と、どん欲だ。「自分の腕を上げれば、もっと美味しい料理をつくることができる。お客さまに喜んでもらえるように、一皿一皿の質を高めていきたい」。女将の陽子さんは新店舗を、お世話になった人や地域に恩返しをする場所だと考えている。「主人も私も静岡が大好き。お世話になった方たちにお料理を存分に楽しんで頂きたい。それが地域への恩返しにもなると思っています」と話す。

 シメの定番うな重は店の人気メニューだ。そしてこのうな重には逸話がある。朝太郎さんが若かりし頃に揃えた包丁セット。今でも欠かせない職人道具だが、一本だけ名入れの包丁がある。「それがほら〝うなぎ裂き〟です。現在(いま)を暗示していたんですかね」と笑う朝太郎さんは調理場と異なる表情を見せる。何よりも、誰よりも、料理好きな板前だという証だ。

 

■住  所/静岡市葵区梅屋町5-10 SOZOSYA梅屋町マンション1階

■電  話/054-204-1815

■営業時間/18:00一斉スタート(完全予約制)

■定 休 日/月、火曜日

■座 席 数/カウンター8席

 

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