ヴィンチスグラッシ
「郷土料理は新しい料理体験」と簡潔に一言で表現するのは、イタリア郷土料理を手がけるオーナーシェフの増田倫己さん。3年前、自身の店を静岡にオープンした。現地の味をそのまま届けたいという思いから、料理の再構築はしていない。歴史と文化を尊重した一皿を追求する姿勢の背景には、イタリアという国の成り立ちがある。「かつては小さな国家の集まりだったイタリアは、いまでは各州としてそれぞれ独自の文化と食の伝統を大切にしています。その多様性こそが、郷土料理のおもしろさです」と話す。
修業の合間に訪れたナポリで素朴な地元料理に心を打たれた。語学留学中に地元料理を食べ歩き、郷土料理の深さに魅了されるなか、友人の紹介で訪れ、修行した先がアドリア海に面する港町マルケ州にあるアグリツーリズモ※だった。そこで、地元産の肉や魚、小麦、野菜をふんだんに使った家庭料理と出会い、料理人としての価値観が一変したという。
現在はイタリア原種の野菜を自家栽培し、マルケ州のパスタやワインとの組み合わせにもこだわる。「創作ではないイタリアンを、静岡で体験してほしい」。懐かしさの中に新しさがある。そんな郷土料理の魅力を、静かに情熱をもって伝え続けている。
※農村の文化や自然、食を体験できる、農家が運営する宿泊施設のこと
■住 所/静岡市葵区鷹匠2-18-7
■電 話/054-266-3995
■営業時間/ランチ11:00〜14:00(LO13:00)
ディナー17:00〜22:00(LO21:00)
■座 席 数/14席 カウンター6席 テーブル8席
■定 休 日/水曜日・不定休
■駐 車 場/なし

