2017年11月、鷹匠に現れた寿司屋らしからぬ趣の看板。「kubota」は、愛媛県にある名店で修行をした地元・静岡市出身の久保田祐矢さんが、18年の歳月を経て「寿司職人になって静岡で店を出す」という夢をかなえた場所だ。そんな久保田さんの繊細かつ丁寧な寿司は一言で言えば美しく、かっこいい。そして旨い。

 静岡らしくないネタがウリ。白身魚が中心で、静岡では味はえない愛媛仕込みの寿司を楽しむ。サヨリ、酢でしめたイワシ、時にはスモークなど、洗練された新しさに出会える。

 「母が愛媛出身で、母の兄(叔父)が寿司屋を営んでいました。小さい頃からたびたび愛媛に連れて行ってもらい、寿司屋の風景を見てきました。男の子はサッカーや野球選手に憧れますが、私にとってのそれは寿司職人だったのです」。

 高校を卒業してすぐ、地元では名の知れた叔父の店で修行に入る。親方(叔父)と寝食を共にしながら、立派な職人になるためのきびしい毎日。そんな中、愛媛の美味しくて豊富な魚や白身魚のきめ細やかさに魅せられ、技術はもちろん、寿司に欠かせない季節感の演出などを身につけた。

 「静岡はマグロ文化が根強いので、当店のような寿司は珍しく感じるかもしれません。でも、近海で獲れるものでも、寿司として出されていないネタはまだたくさんあります。愛媛の魚だけでなく、そういった地元の魚も楽しんでもらおうと思っています」。

 

■住  所/静岡市葵区鷹匠3-20-3-2

■電  話/054-204-6430

■営業時間/ランチ11:30〜14:00(LO.13:30)、夜17:30〜22:00

■座 席 数/カウンター8席

■定 休 日/日曜日(ランチは水曜日と日曜日)