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自宅以外にA-60坪、B-90坪の土地を所有しており、どちらの土地も更地で建築可能な状況です。今回息子夫婦が住宅を建築したいということで、どちらかを選ぶにあたり、ちょうどいい広さで自宅からもすぐそばにあるBの土地にしようとしたのですが、Aは市街化区域、Bは市街化調整区域だから今現在の状況ではBに住宅を建築するのは難しいと言われてしまいました。AもBも自分の土地なのに、なぜ自由に選べないのでしょうか。

2014/09/19 

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都市計画法上(都市計画区域内について)、土地は市街化区域、市街化調整区域、その他、に分類されており、市街化区域とは市街化を促進する地域、市街化調整区域とは市街化を抑制する地域とされています(その他は市街化を促進する地域なのか市街化を抑制する地域なのか定められていない土地となります)。

 市街化調整区域というのは市街化を抑制する地域なので、都市計画法上、建築不可能な土地であるという原則があり、建築は、例外的なものだけを認めております。その例外の条件は市町ごとに細かく運用基準として決められており、その条件を満たすことができれば市街化調整区域にも建築することが可能になります。

 今回のケースでは、建築可能なAという土地を市街化区域に所有しているのに、ただ広くて自宅から近いという理由だけで市街化調整区域にあるBという土地に建築したいという言い分は例外の条件を満たすことができません。市街化調整区域は市街化を抑制する地域で原則的には建築不可能な土地ですから、市街化区域に建築可能な土地を所有しているならば、まずそちらを優先しなければならないということです。(市街化区域にあるAの土地が、建築不可能な土地だったとしても、市街化調整区域にあるBに建築できる例外的条件は、まだ他にもある可能性があります)

自宅以外に複数の土地を所有している場合、特に市街化調整区域に所有している場合、自分の土地だからといって、どこにでも自由に建築することができるというわけではありません。所有している土地が農地ではなく宅地や雑種地でも同様です。今回のケースで、例えば、息子さんが2人いて、兄はBの土地に建築、弟はAの土地に建築を考えていたところ、兄が先に建築することになってしまったらBの土地を選ぶことができず、まずAの土地を優先しなくてはならない、といったことが生じてしまうのです。極端ではありますが、Aの土地が「畑」と登録されており、Bの土地が「雑種地」と登録されていてもAの土地を優先しなくてはならないのです。

 将来、息子さん娘さんのために「息子にはこの土地をやろう、娘にはあの土地をやろう」と安易に考えてしまうと想定外なことが生じる可能性はありますので、自分は一体どういう土地を所有しているのか調査しておくことが必要なのかもしれません。市街化調整区域における建築可能な例外的条件は非常に複雑かと思いますので、詳しくは、各市町の都市計画法を担当する課に足を運んで調査していただくか、最寄りの行政書士事務所に御相談してみてはいかがでしょうか。

 

 

農地土木委員会 新井周一