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私は、有限会社の形で塗装業を営んでおり、7年ほど前から一人息子も仕事を手伝ってくれています。現在は有限会社ですが、息子が株式会社に変更したらどうかと言ってきました。私は有限会社のままでよいと思っていますが、息子の言うとおり株式会社に変更した方がよいのでしょうか。

2016/05/09 [05月05日号掲載]

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有限会社から株式会社への変更にはメリット・デメリットがあります。これを機会に息子さんと会社の将来について話し合い、会社にとってどのような形がふさわしいか検討されてみてはいかかでしょうか。

■特例有限会社

 平成18年の新会社法施行により、従来の有限会社は「特例有限会社」として存続していますが、法律上は原則として株式会社と同様の扱いになっています。

 「特例」となっていますが存続期間に制限はなく、そのまま有限会社として存続することには何の問題もありません。また、一度株式会社に変更してしまうと、有限会社に戻すことはできませんので、慎重な判断が必要です。

 

■株式会社は信用が高い?

 会社法の施行以降、有限会社から株式会社に変更した会社もありますが、「有限会社」という社名から受けるイメージを考慮して変更される会社が多いようです。

 世の中には有限会社より株式会社の方が大きな会社だ、というイメージが存在します。

 会社法の施行以前、株式会社については、資本金を1000万円以上用意しなければならない点や、最低でも取締役3名、監査役1名を置かなければならないという規制があり、株式会社設立のハードルが高かったためにこのようなイメージができ上がりました。

 しかし、現在はこれらの規制が無くなり、資本金1円、取締役1名でも簡単に株式会社を設立できるようになりました。したがって、株式会社であっても、取引先として本当に信用できるかどうかは、その会社の経営者や決算内容まで確認しないと実際にはわかりません。

 過去には、取引先から「うちは株式会社じゃないと取引できないよ」と言われたり、人材を募集するときに有限会社では応募者が集まりにくいこともありました。

 「有限会社」という社名のイメージは、受け止める方の捉え方によるところがあります。見方を変えれば、有限会社は平成18年より前から存在していたことは明らかなので、社歴の長い安定した会社との印象を受ける側面もあります。事実、有限会社であることに誇りを持って社名として使い続けている会社も存在します。

 

■株式会社と有限会社の違い

 また、株式会社に変更すると有限会社では必要のなかった次のようなことも発生します。

・毎年の決算公告義務が課される

 小規模の株式会社であれ、株式会社である以上は決算公告義務があります。有限会社には決算公告義務がありません。

・役員の任期があり、変更登記の

 必要性が出てくる

 株式会社であれば原則2年に一度の変更登記(一定条件により10年まで延長可能)が必要となりますが、有限会社の役員については、定款に定めていない限り任期はなく、役員の任期満了による変更登記は不要です。

・変更にかかる費用が発生

 封筒、看板、名刺等について変更・印刷し直す費用がかかることになります。また事業の内容によっては許認可等の変更の届出も必要になるケースがあります。

 

■息子さんと話し合いを

 今回は息子さんから話があったということですが、息子さんはどのような点から株式会社に変更したいとお考えなのでしょうか?きっと息子さんもこの先自分が後を継いで、経営について頑張っていこうという考えのもと提案されたのだと思います。

 これを機会に息子さんと腰を据えて会社の将来について話してみてはいかかでしょうか?そのうえで、専門家の意見が聞きたいということが出てきましたら司法書士にご相談ください。会社にとってどのような形がふさわしいのかアドバイスさせていただきます。

 

司法書士村松敦之事務所

浜松市中区佐鳴台四丁目10番 マッキンリーハイツ佐鳴湖201号

司法書士 村松敦之 氏