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『野にも山にも炭を撒く』の著者宮下氏が炭による森林の再生策を語る 手打ち蕎麦たがた

2013/12/04 [12月05日号掲載]

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手打ち蕎麦たがた(静岡市葵区常磐町2─6─7、田形治代表)では「蕎麦を通じて世の中を豊かに」という考えから、在来作物を保護・育成する活動や農作物の生育環境を整備する活動に取り組んでいる。その一環として11月には森林(やま)の会代表で『野にも山にも炭を撒く』著者の宮下正次氏を招き、炭を使った森林再生策についての講演会を行った。
 宮下氏は元前橋営林局職員で森林の管理・保護等にあたった経験を持ち、その傍らで海外の山岳への登山経験も豊富。ゆえに日本と世界の森林衰退の実態について明るく、講演会ではその現状を伝えるところから話を始めた。
 マツ・ナラ枯れ問題に直面している日本の森林。宮下氏は「酸性雨で土中にアルミニウムが溶け出し、これがリン酸と結合して、樹木を支える土壌の養分が損なわれる」ことが原因の一端にあると指摘する。そしてその対策に使用しているのが、備長炭などの炭。「炭はミネラルに富み、強酸性に傾いた土壌を中和し、微生物の住みかとなる」とその働きを紹介した。力を失った森林に1haあたり3tの粉末炭を撒き、土壌の改質に成功した事例を挙げ、また人体に蓄積された有害なものを炭が排出させる力をもつことなどにも言及していた。
 静岡市の山間地で焼畑農業の復権にも協力している手打ち蕎麦たがたの田形代表は「焼畑も土中に炭を生み土壌を豊かにする取り組み。自然環境を豊かにする活動をこれからも続けていきたい」と話していた。