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私は、小さな株式会社の代表取締役をしております。今般、法務局から「本店の所在地を管轄する登記所に事業を廃止していない旨の届出をすべき旨の官報公告がなされた」という内容の通知を受けました。なぜこのような通知が届いたのでしょうか?また、私はこれからどうすればよいですか?

2022/06/05 [06月05日号掲載]

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届いた通知は、法務局の休眠会社整理作業によるものです。まずは、届いた通知のとおり、管轄登記所に「事業を廃止していない旨」の届出をしてください。そして、早急に役員の変更登記をしてください。

 

 

 会社の登記義務

 会社の登記は過料を伴う法的義務とされています。例えば、役員の変更があった場合、変更が生じたときから2週間以内に変更登記をしなければならないとされており、その義務を怠った場合、代表者個人に100万円以下の過料処分がなされる場合があります。

 

 なぜこのような

  通知が来たのか

 会社法には、役員の任期が定められています。同法では、取締役の任期について「選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結のときまでとする」と規定されており、〝2年”という期間については定款で短縮することができ、また、公開会社でない会社(株式の譲渡が自由にできない会社)の場合は、定款で〝10年”まで伸長することができます。

 取締役の任期が満了した場合に、同じ人間が再度取締役に就任(再任)した場合であっても、その旨の登記をしなければなりません。

 したがって、株式会社の場合、取締役の任期を定款で最大限伸長した場合でも10年に一度は登記手続をする必要があることになります。

 そして、会社法では、最後の登記の日から12年を経過した株式会社を〝休眠会社”と規定し、法務大臣が休眠会社に対して、2か月以内に管轄登記所に事業を廃止していない旨の届出をすべき旨を官報公告したときは、管轄登記所はその旨を休眠会社に通知することになっており、設問の通知が届く事態となっています。

 さらに、事業を廃止していない旨の届出を期限までにしない場合、当該期限内に変更登記をしたときを除き、当該会社は解散したものとみなされてしまいます。

 今後、どのようにすれば

  よいのか

 まずは、ご自身の株式会社の定款に記載されている役員の任期を確認し、役員の任期到来時に忘れずに登記手続をしてください。また、その他の登記事項に変更があった際も、その旨の変更登記を忘れないようにしてください。

 会社の登記は法的義務であり、会社の登記を長期間忘れていると多額の過料処分を受ける可能性があります。

 もし、ご不明な点があるときは、お近くの司法書士にご相談されることをお勧めします。

 

司法書士堀内健太郎事務所

磐田市今之浦二丁目3番地16

司法書士 堀内健太郎 氏