食品総合商社の大五通商㈱(静岡市葵区清閑町12—5、瓦谷健社長)は、EC(電子商取引)事業の強化を目的とした準備を進めている。
同社は、2025年1月に㈱佐藤園を買収し、子会社化した。佐藤園は茶の栽培から販売までを一貫して手がける体制を整え、トクホ(特定保健用食品)の製造認定も取得している。今後は約10億円を投じてラインの新規導入などハード面を拡充し、生産体制を強化する。佐藤園本社に隣接するお茶カフェでは、新たに大五通商の主力商品であるうなぎの提供を開始し、相乗効果の創出を狙う。「大五通商のうなぎと佐藤園のお茶はどちらも中高年の富裕層に支持されており、顧客層が重なることから販促面での相乗効果を期待している」(瓦谷社長)。
佐藤園が持つカタログ通販の豊富なノウハウを、大五通商のEC事業にも活用する方針だ。大五通商では「駿河大五郎」「うな侍」「うなっ娘」など複数のうなぎ加工食品のブランドを有している。一方の佐藤園は、静岡市のブランド茶である「本山茶」など品質の確かな茶葉を取り扱っているが、全国的な知名度は低い。今後は両社の強みを掛け合わせることで、販売力の底上げを図っていく。「佐藤園には「清流会」と呼ばれる契約農家が約20軒あり、将来的には休耕地の買収による茶畑の拡大も視野に入れています。茶摘み体験などを盛り込んだ観光コンテンツを企画し、佐藤園カフェの集客力を高めることでネット通販とリアル体験の両面で商品の知名度を高めていきたい」と話すように、EC事業と地域資源とを融合させた新たな事業展開を目指している。



