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私は日本の大学で経営学を学んでいる中国人留学生です。来春卒業予定ですが日本の会社に就職したいと考えています。どのような仕事ができますか?また就職活動をするにあたって何か注意点があれば教えてください。

2015/04/20 [04月20日号掲載]

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外国人留学生が卒業後、日本の企業に就職し日本に在留し続けるためには在留資格を「留学」から就労資格に変更しなければなりません。

 

 留学生に限らず外国人が日本で働こうとする場合、どのような職種にでも就ける訳ではなく、学歴・専門性・経験といった各就労資格に定められた条件を満たさなければなりません。

 留学生の場合、大学で学んだ専門知識を要する「技術・人文知識・国際業務」という就労資格に変更するのが一般的で、日本の企業に就職した留学生の実に90%以上がこの就労資格に変更します。「技術・人文知識・国際業務」と少々長たらしい名称ですが、これは従前の在留資格「技術」(自然科学いわゆる理系分野の知識を要する業務)と在留資格「人文知識・国際業務」(人文科学いわゆる文系分野の知識を要する業務・語学が必要となる業務)の二つに区分していたものが入管法の一部改正により本年4月1日から包括的な在留資格として一本化されたからです。

 それでは、あなたが日本でどのような仕事に就けるかというと、大学で学んでいる経営学は人文科学の分野になりますので「技術・人文知識・国際業務」のうち「人文知識」で認められている業務、それに中国出身でありますから当然中国語という語学の素養を持っていますので「国際業務」で認められている業務が可能です。具体的な職務内容としては、まず「人文知識」で見てみると、大学で学んだ経営学の知識を必要とする仕事、例えば会社の管理部門における経営管理、企画、マーケティング、広報、営業といったものが考えられます。「国際業務」では、中国語の翻訳・通訳や中国語を指導する仕事が可能です。大学で学んだ専門知識(あなたの場合は経営学)が活かせる職種で募集がある企業、または中国との取引など中国語が必要な職種がある企業に絞って就職活動を進めてください。また、どのような仕事でも日本の企業に就職するからには一定の日本語能力は必要です。日本語能力試験の少なくともN2レベルは取得しておいた方が望ましいでしょう。

 企業の内定が得られたら入国管理局へ在留資格の変更申請をします。申請では、学歴や専門性を確認するためにあなた自身に関わる資料が求められるだけでなく、内定した会社の「安定・継続性」「収益性」「雇用の必要性」を確認するために決算文書など会社からも様々な資料を提出していただくことになります。入国管理局への申請には会社側の協力は不可欠であることを事前に理解をいただくようにしてください。 静岡県行政書士会では留学生や留学生の採用を検討している企業様を対象に「留学生支援相談室」(専用電話050─3784─8208 平日14時~17時受付)を設置しておりますので、詳しい内容・手続をお知りになりたい方、その他在留資格に関して疑問のある方は、是非お気軽にご相談ください。

 

静岡県行政書士会

国際委員会  委員 藤田 哲