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先日、取引先から当社(株式会社)の登記事項証明書の提出を求められ、久しぶりに登記事項証明書を取得したところ、その末尾に「会社法第472条第1項の規定により解散」の旨が記載されておりました。もちろん当社は解散しておりませんし、解散の登記を申請した覚えもありません。当社はどうなっているのでしょうか?

2018/04/05 

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法務局が行う休眠会社等の整理作業により、御社は解散したものとみなされ、登記官が職権で「みなし解散」の登記を行ったものと思われます。みなし解散から3年以内であれば会社継続の手続きを行うことが可能です。

1 みなし解散とは

 株式会社に関する登記が最後にあった日から12年を経過すると休眠会社とされます。休眠会社が法務大臣の指定した期間内に、事業を廃止していない旨の届出や役員変更等の登記申請をしない場合は解散したものとみなされ、登記官の職権により解散の登記がなされることになっています。最後の登記から5年を経過している一般社団法人や一般財団法人などにも同様の制度があります。

 株式会社が解散すると、清算のための活動しか行うことができません。したがって、みなし解散の登記がある株式会社は事業活動を行うことができません。

 

2 法務局が休眠会社等の

  整理作業を行う理由

 会社法の規定により、株式会社の取締役の任期は、原則として2年、最長でも10年とされております。取締役の交替や重任の場合にはその旨の登記が必要ですから、株式会社については、取締役の任期ごと(少なくとも10年に一度)に、取締役の変更登記がされるはずです。また、取締役の変更に限らず、株式会社はその登記事項に変更があった場合には、本店の所在地においては2週間以内、支店の所在地においては3週間以内にその変更登記をしなければなりません。

 長期間登記がされていない株式会社は、既に事業を廃止し、実体がない状態となっている可能性が高く、このような休眠状態の株式会社の登記をそのままにしておくと、商業登記制度に対する国民の信頼が損なわれることになりかねないため、みなし解散の規定が設けられたのです。

 なお、役員の任期に法律上の制限がない有限会社や合同会社などでは、定期的な登記申請が必要的ではありませんので、みなし解散の規定は適用されません。

 

3 みなし解散後の会社の

  継続とは

 解散したものとみなされた株式会社は、みなし解散から3年以内に限り、株主総会の特別決議によって,株式会社を解散の状態から事業活動が再開できるようにすることができます。これを「継続」と呼びます。

4 過料の制裁の可能性

 前述のとおり、会社の登記には登記期間が定められています。長期間にわたり登記を放置すると、高額の過料に処せられる可能性がありますので、忘れずに登記申請をしなければなりません。

 

5 役員の変更の登記を

  忘れていませんか?

 以上のとおり、株式会社は少なくとも10年に1回は登記申請が必要となります。取締役や監査役の任期を10年と定めている株式会社も少なくないと思いますので、ぜひとも再度、役員の任期満了時期をご確認いただければと思います。

 任期満了による役員の変更の登記等、御社に必要な登記申請を司法書士がお手伝いいたします。